明治美術学会40周年シンポジウム 2日目プログラム

次世代研究者フォーラム「視覚文化研究をひらく−近代・日本・美術を越えて」

ポスター発表募集のお知らせ

 本年40周年を迎える明治美術学会では、11月23日、24日の2日間にわたり記念シンポジウム「明治から/明治へ −書き直し近代日本美術」を開催いたします。1日目のシンポジウム「近代⽇本美術研究はどう変わったか」では学会のこれまでを振り返りつつこれからの研究を展望し、2日目は学会の未来を担う次世代研究者フォーラムとして「時代」「地域」「方法論と社会的課題」の3つのテーマによるセッションを行うことといたしました。2日目プログラムに際し、明治美術学会としては初めてポスター発表の場を設けます。多くの参加者の目に触れることとなりますので、発表の機会としてご活用いただければ幸いです。またポスターの掲示だけではなく、採択者のうち各セッション2名をコメンテーターとして選出し、当日のセッションに登壇のうえ総合討議に参加していただくことを予定しております。

2024年4月28日 明治美術学会理事会

 

開催概要

日時:2024年11月24日(日) 10:00~18:00
会場:早稲田大学(早稲田キャンパス)小野記念講堂(定員200名)

募集内容

募集人数:18名まで

応募条件

シンポジウム各セッションの趣旨を理解し、その問題意識を共有した内容であること。
セッションA:『時代』
セッションB:『地域』
セッションC:『方法論と社会的課題』
※各セッションの内容についてはシンポジウム開催概要をご参照ください。

応募資格

応募時点で明治美術学会会員であること。(応募時の新入会については理事または事務局にご相談下さい)

審査方法

審査は明治美術学会理事会およびセッション・オーガナイザー、チェアによって行われます。

発表形式

・ポスター発表(18名まで)
・ポスター発表採択者の中から事前に各セッション2名ずつ(計6名)をコメンテーターとして選出
・コメンテーターはシンポジウム当日登壇し総合討議に参加

※ポスター発表の配置、コメンテーターに選出された方に参加していただくセッションについてはセッション・オーガナイザーおよびチェアが決定いたします。(希望するセッションについては申込フォームに記入することができますが、ご希望にそえない場合がありますのでご了承ください)

スケジュール

6月30日(金)アブストラクト(日本語800字以内)申込締切

7月31日(水)までに採択・不採択の通知

9月30日(月)ポスター予稿提出(レイアウト前のデータ)

10月~11月 セッションごとに登壇者・コメンテーター参加のオンライン勉強会

11月24日(日)ポスター発表当日(各自、掲示するポスターを持参)

申込先

申込はこちらのフォームから

https://forms.gle/3c5kSSuxFtLYdwHC8

※送信ボタン上の「回答のコピーを自分宛に送信する」をONにすることにより送信後に内容をご自身で確認できるよう設定しております。

6月30日(金)17:00締切

問い合わせ先

・次世代研究者フォーラム担当理事:林みちこ(筑波大学芸術系)hayashi.michiko.gn(アットマーク)u.tsukuba.ac.jp
・明治美術学会事務局:mail-meibikai(アットマーク)meibikai.org

当日持参していただくポスターの仕様

サイズ:A0サイズ(縦118.9×84.1㎝)縦レイアウトのみ、カラー出力可。
各自でプリントし、ポスターケースに入れて運ぶなどして当日、現物を持参してください。(事前の配送は受け付けません)
ポスター掲示用のパネルサイズ:縦170×横110㎝(両面使用で9台)
9:00~9:30に掲出作業を行いますので、この時間内に会場に搬入してください。
掲出に際しての資材は事務局が準備いたします。
レイアウト、デザインは自由としますが、余白を十分に取り読みやすい配置を心掛けてください。
(一般的な学会ポスターのフォントサイズ:タイトル70-90pt、見出し60-70pt、本文32-40pt)

経費補助

ポスター印刷に関して学会より1人あたり上限5,000円の補助をいたします。(領収書の提出後の助成となります)


シンポジウム開催概要

次世代研究者フォーラム「視覚文化研究をひらく−近代・日本・美術を越えて」

2024年11月24日 早稲田大学小野記念講堂

総合司会:関直子(早稲田大学 文学学術院 教授)

創設以来の会員による、学会が紡いできた研究成果をめぐる初日の議論に対し、2日目は中堅・若手研究者が、対象とする地域や時代、社会的な課題を伴う視覚文化へのアプローチといった観点から、発表と討議を行う。これまでの研究対象や枠組みの背景となる考え方を、多様な地域や立場の発表者が相対化していくことを目指す。さらに異なる世代の研究者がコメンテーターとして討議に参加することで、これからの新たな研究対象や方法の萌芽が学会員で共有される場となるのではないか。近代日本美術が、これからの視覚文化研究にとり豊かな培地となる可能性がひらかれる、そのような自由な議論の機会としたい。

セッションA:午前 10:00~12:00
12:00~13:30 昼休み(ポスター発表)
セッションB:午後① 13:30~15:30
15:30~16:00休憩(ポスター発表)
セッションC:午後② 16:00~18:00

発表①②③:各20分×3+総合討議 45分

※ポスター発表者は上記休憩時間に適宜、各ポスター前で質問に答えるなど各自の都合に合わせて対応してください。ポスター前での待機は必須ではありません。

セッションA:『時代』
日本美術史のなかの「近代」を積極的に研究しようとする私たちは、その時代をどのようにとらえ、発信してきたのか。そしてこの先、どのように発信しようとするのか。前近代との区分はある程度明確だろうが、ではいつまでが近代で、現代との違いはなにか。この難解な問いに対して、本セッションでは美術館博物館の展示を軸として迫っていきたい。展示とは時代や地域を切り口に構成されている場合が多く、近代/日本の展示手法を国内外の事例を報告してもらおう。日本美術史の成立とその叙述の発展も、近代そして現代という時間のなかにあり、また対外的な関係性の中にあった。そのような時間軸と政治経済などのパワーバランスのなかで生まれた歴史観をもって、様々な視覚造形を展示してきた。研究以上に一般社会への還元として重視されるその活動の具体相を報告しあうことで、研究動向の特徴も浮び上がるだろう。以上を経て、いまこれからもなお、「近代」を研究する意義を現認する機会としたい。

チェア 角田拓朗(神奈川県立歴史博物館主任学芸員)
発表① 古田亮(東京藝術大学大学美術館教授)
発表② チェルシー・フォックスウェル(シカゴ大学准教授)
発表③ 堀川理沙(シンガポール国立美術館ディレクター)

セッションB:『地域』
近代日本は、琉球や台湾・朝鮮半島を併合し、明治以降には南洋諸島や満州に至る広大な地域をその影響下に置いた。日本の地理的な膨張に伴い、美術もまた各地との関わりを持つようになるが、近代日本美術史の語りはそうした地域の文化や表現を包括することなく一定の純粋性を志向してきた。近年、旧植民地における美術が研究の俎上に乗るようになり、それぞれの地域における展覧会や美術家の交流にも関心が向けられるようになっているが、近代日本美術における「日本」という概念はまだ強固な枠組みを保っているように思える。また、国内においては美術の中心軸が東京や京都に置かれ、地方における美術活動は重要視されてきたとは言い難い。本セッションでは、近代日本美術の枠組みを再考することから議論を進め、「内地/外地」・「中央/地方」といった「場」を通じて見えてくる近代日本美術の相貌に焦点を当てる。さらに世界各地における近代日本美術研究の広がりによって「日本」そのものを相対化した視座が獲得できるか相互に議論を深めて行きたい。

チェア 奥間政作(早稲田大学會津八一記念博物館主任研究員)
発表① 花井久穂(東京国立近代美術館主任研究員)
発表② 村田隆志(大阪国際大学国際教養学部教授)
発表③ マグダレナ・コウオジェイ(東洋英和女学院大学国際社会学部講師)

セッションC:『方法論と社会的課題』
美術史の語りと方法論は時代とともに変化し更新されてきたが、近年そのアプローチは社会的課題と切り離せないものとなっている。特に個人の生に関すること、ジェンダー、セクシュアリティ、アビリティは尊厳にかかわる重大な問題であるにもかかわらず抑圧の対象となり、タブー視される傾向にあった。相互に関係しあうこれらの課題はセッションA、Bで議論する民族、国家、権力、歴史などの命題と複雑に絡み合いながら、昨今ではインターセクショナリティ(交差性)という統合された概念として検討されはじめている。明治美術学会は、美術の枠組みにとどまらず広く視覚文化全般を扱う研究を受け入れてきたが、大学における研究者、美術館・博物館の学芸員に加え、これからは制作者であるアーティストとの対話も含め、表現の自由について考えることがより一層必要となってくるであろう。以上をふまえ、本セッションでは近代日本が不可視化してきた差別の問題に向き合う、開かれた議論の場を設定する。

チェア 林みちこ(筑波大学芸術系准教授)
発表① 吉良智子(日本女子大学学術研究員)
発表② 吉國元(国立ハンセン病資料館学芸員)
発表③ 小田原のどか(彫刻家・評論家)