「<写生>のイマジネーション 杉浦非水の眼と手」(終了)
開催場所:宇都宮美術館
開催期間:11月22日(日)~2010年1月17日(日)
休館日:月曜日(ただし、11月23日、1月11日は開館)、祝日の翌日、年末年始(12月28日~1月4日)
開館時間:9:30~17:00
(図:杉浦非水《山百合》(部分)『非水百花譜』1920-22年 宇都宮美術館蔵)
杉浦非水(1876-1965)は明治・大正・昭和にかけて目覚しい活躍をみせた図案家です。故郷の愛媛県松山市で日本画を学んでいましたが、上京後洋画 家黒田清輝が将来したアール・ヌーヴォー様式の図案に魅せられて以降、本格的に図案家の道を志します。三越呉服店時代の一連の仕事やポスター《東洋唯一の 地下鉄道 上野浅草間開通》は、日本の近代デザイン史上の傑作として位置づけられています。
本展覧会ではとくに非水の創作の根本にある透徹した写生精神に注目します。駆け出しの頃から晩年に至るまで生涯にわたって自然の草花や動物をモチーフと した生命力溢れる図案を多数制作しました。近年再評価の声が高まりつつある木版画集『非水百花譜』などはその代表的な作例といえるでしょう。非水にとって の”写生”とは、単に対象物をあるがままに描くということ以上の意味を持っていました。それは、徹底した観察によってのみ眼前に立ち表れてくるモチーフの 無限の表情をいかに実直に把握しえるのか、さらにその上で万物の生命感をいかに自らの図案作品として昇華しえるのか、というデザインに限らず同時代のあら ゆる領域の創作一般が抱える根源的な問題意識を有するものであり、だからこそ非水の図案の魅力が長い年月を経った今でも色褪せることなく多くの人々に愛さ れているのではないでしょうか。
本展覧会では上記の代表作はもちろんのこと、例えば東京美術学校から中央新聞社時代までの初期作品群あるいはヨーロッパ遊学時代(1922~24年)のス ケッチや写真などこれまでほとんど紹介されなかった貴重な作品資料を可能な限り展示することによって、非水のデザイン活動の全体像とその変遷を詳細に跡づ けることを目指しています。さらに、創作のインスピレーションであり、且つ図案家としての”眼と手”の修養に少なからぬ影響を与えた世界各国の工芸品や海 外のポスターを中心とした非水旧蔵コレクションの一部を展観することによって、非水デザインの位相を多角的に検証していきます。
公式サイトはこちら
http://u-moa.jp/jp/exhibition/index02.html
「水彩画のパイオニア 大下藤次郎の世界展」(終了)
開催場所:郡山市立美術館
開催期間:9月12日(土)~10月18日(日)
休館日:月曜日(ただし、9月21日、10月12日は開館し、9月24日、10月13日休館)
開館時間:9:30~17:00
(図:大下藤次郎《猪苗代》 明治40(1907)年 島根県立石見美術館蔵)
水彩画家・大下藤次郎の作品やスケッチブック、日記といった貴重な資料類は、長くご遺族や関係者によって大切に守られてきました。近年、一括して島根県立石見美術館に収蔵されたそれらの中から、今回は80点ほどの作品と、絵葉書などの多彩な資料類をご紹介します。日本各地を写生した大下ですが、中でも特に福島県内を描いた作品は、大下の最大サイズの作品「檜原湖畔」や「猪苗代」など優品も多いことから、写生地の調査をおこなうなど、地元ならではの視点を加えた展示となります。また、会期中には、帝塚山学院大学教授で日本絵葉書会会長・山田俊幸氏による講演会「大下藤次郎と絵はがき流行」、磐梯山噴火記念館副館長・佐藤公氏による美術講座「大下はなぜ磐梯山を描いたか」を開催、より多角的に大下の活動を検証します。
会期中の10月12日(日)までの常設展示室では、当館が所蔵する大下の作品5点を含め、英国と日本の水彩画を特集展示しています。企画展とあわせ、ぜひご観覧ください。
公式サイトはこちら
http//www.city.koriyama.fukushima.jp/bijyutukan/
「躍動する魂のきらめき―日本の表現主義」(終了)
開催場所:兵庫県立近代美術館
開催期間:6月23日(火)~8月16日(日)
休館日:月曜日(ただし、7月20日(月・祝)は開館し、7月21日(火)休館)
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は夜間開館、20時まで)
(図:萬鉄五郎《風船をもつ女》 1912-13年 岩手県立美術館)
表現主義とは、20世紀の初め頃、ドイツをはじめヨーロッパ各地で起こった美術運動です。形や色の表現に内面や精神を強く表わそうとするこの運動は、日本にも伝わりました。日本でも明治末から大正期に、内面の感情や生命感を表わした個性的で力強い芸術表現が各分野で生まれ、この動向は日本独自の展開を示しました。
この展覧会は、1910年代から20年代、大正期を中心に起こったこの熱き芸術表現を日本の表現主義と位置づけ、洋画、日本画、版画、彫刻、工芸、建築、デザイン、写真、舞台美術など、ジャンルを越えて紹介する初めての試みです。個性や内面が強く噴出したこの時代の芸術を、約140作家の約350点の作品や資料によってご覧いただきます。(会期中展示替があります)
なお、本展は以下の日程で各会場を巡回致します。
名古屋市美術館
8月25日(火)-10月12日(月・祝)
岩手県立美術館
10月20日(火)-11月29日(日)
松戸市立博物館
12月8日(火)-2010年1月24日(日)
公式サイトはこちら
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_0906/index.html
「戦争画の相貌-花岡萬舟連作-」(終了)
開催場所:早稲田大学會津八一記念博物館 1階企画展示室
開催期間:6月15日(月)~7月11日(土) 日曜休館
開館時間:10:00~17:00
(図:花岡萬舟《大別山突破》 1938年頃、130.1 ×162.1㎝)
2006年度に住野重樹氏より寄贈を受けた花岡萬舟の戦争画連作のうち、修復を了えたほぼ半数(25点程度)を展示する。戦争画の展示をあえて試みるのは、その隠匿が、過去の事実そのものをも覆いかくし、イメージ資料が伝えるリアリティーを希薄化し、それを歴史考察の対象外に追いやる危険性を孕んでいるからである。今回の展示は、美術作品と歴史との緊密な関わりについて、検討をうながす機会となることだろう。
公式サイトはこちら
http://www.waseda.jp/aizu/2009/whats2009.html#kikaku